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宅地建物取引士(宅建)試験の過去問(令和元年)

 問26 問27 問28 問29 問30 問31 問32 問33 問34 問35 問36

問26

宅地建物取引業法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者は、自己の名義をもって、他人に、宅地建物取引業を営む旨の表示をさせてはならないが、宅地建物取引業を営む目的をもってする広告をさせることはできる。

2 宅地建物取引業とは、宅地又は建物の売買等をする行為で業として行うものをいうが、建物の一部の売買の代理を業として行う行為は、宅地建物取引業に当たらない。

3 宅地建物取引業の免許を受けていない者が営む宅地建物取引業の取引に、宅地建物取引業者が代理又は媒介として関与していれば、当該取引は無免許事業に当たらない。

4 宅地建物取引業者の従業者が、当該宅地建物取引業者とは別に自己のために免許なく宅地建物取引業を営むことは、無免許事業に当たる。

 
【正解】4

1 宅建業者は、自己の名義をもって他人に宅建業を営む旨の表示をさせることをしてはならず、宅建業を営む目的をもってする広告をさせることもしてはなりません。


2 「宅建業」とは、宅地・建物の売買・交換や、宅地・建物の売買・交換・貸借の代理・媒介をする行為で業として行うもののことをいいます。
ここでいう建物には建物の一部も含まれますので、建物の一部の売買の代理を業として行うものは宅建業に該当します。

3 宅建業の免許を受けていない者は宅建業を営んではなりません。
また、免許を受けていない者が業として行う宅地建物取引に宅建業者が代理又は媒介として関与したとしても、当該取引は無免許事業に該当します。

4 宅建業を営もうとする者は、宅建業の免許を受けなければなりません。
また、宅建業者の従業者がその宅建業者とは別に自己のために宅建業を営むためには、宅建業の免許を受ける必要があります。よって、このようなケースは無免許事業に当たります。

問27

宅地建物取引業法に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。なお、取引の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

ア 宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物についての自ら売主となる売買契約を締結してはならないが、当該売買契約の予約を行うことはできる。

イ 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の種類又は品質に関する契約不適合を担保すべき責任に関し、取引の相手方が同意した場合に限り、損害賠償の請求期間を当該宅地又は建物の引渡しの日から1年とする特約を有効に定めることができる。

ウ 宅地建物取引業者は、いかなる理由があっても、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。

エ 宅地建物取引業者は、宅地建物取引業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、その相手方に対し、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはならない。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 なし

【正解】1

ア 正しくない 
宅建業者は一定の場合を除き、自己の所有に属しない宅地・建物について自ら売主となる売買契約を締結してはなりません。
ただし、買主が宅建業者である場合はこの規定は適用されません。

イ 正しくない
宅建業者は、自ら売主となる宅地・建物の売買契約の締結に際して、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関して、買主がその不適合を知った時から1年以内について、その目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、買主に不利となるような特約をしてはなりません。
損害賠償の請求期間を宅地・建物の「引渡しの日から1年」とする特約については、この規定よりも買主に不利な特約でありますので、有効に定めることはできないわけです。ただし、買主が宅建業者である場合はこの規定は適用されません。

ウ 正しくない
宅建業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはなりません。ということは、正当な理由があれば可能なわけです。

工 正しい
宅建業者が、宅建業に係る契約の締結の勧誘をする際に、その相手方などに対して、利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をすることは禁止されています。

問28

宅地建物取引業者が建物の貸借の媒介を行う場合における宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、説明の相手方は宅地建物取引業者ではないものとする。

1 当該建物が住宅の品質確保の促進等に関する法律第5条第1項に規定する住宅性能評価を受けた新築住宅であるときは、その旨を説明しなければならない。

2 当該建物が既存の建物であるときは、既存住宅に係る住宅の品質確保の促進等に関する法律第6条第3項に規定する建設住宅性能評価書の保存の状況について説明しなければならない。

3 当該建物が既存の建物である場合、石綿使用の有無の調査結果の記録がないときは、石綿使用の有無の調査を自ら実施し、その結果について説明しなければならない。

4 当該建物が建物の区分所有等に関する法律第2条第1項に規定する区分所有権の目的であるものであって、同条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならない。

【正解】4

1 正しくない
宅建業者が建物の売買・交換を行う場合においては、住宅性能評価を受けた新築住宅であるときは、その旨を説明しなければなりません。ただし、建物の貸借の場合には、説明は不要です。

2 正しくない
宅建業者は、建物の売買・交換を行う場合において、当該建物が既存の建物であるときは、既存住宅に係る住宅の建設住宅性能評価書の保存の状況について説明しなければなりませんが、建物の貸借の場合には説明は不要となります。

3 正しくない
宅建業者は、建物の売買・交換・貸借を行う場合において、当該建物について、石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは、その内容を説明しなければならなりません。ただし、石綿の使用の有無の調査が記録されていないときは、調査結果の記録がない旨を説明するだけで足り、石綿使用の有無の調査を自ら実施する必要まではないため「その結果について」説明する必要もないわけです。

4 正しい
宅建業者は、建物の売買・交換・貸借を行う場合において、当該建物が区分所有権の目的であるものであって、同条3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければなりません。

問29

宅地建物取引業法(以下この間において『法」という。)の規定に基づく監督処分及び罰則に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア 宅地建物取引業者A(国土交通大臣免許)が甲県内における業務に関し、法第37条に規定する書面を交付していなかったことを理由に、甲県知事がAに対して業務停lL処分をしようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議しなければならない。

イ 乙県知事は、宅地建物取引業者B(乙県知事免許)に対して指示処分をしようとするときは、聴間を行わなければならず、聴間の期日における審理は、公開により行わなければならない。

ウ 丙県知事は、宅地建物取引業者C(丙県知事免許)が免許を受けてから1年以内に事業を開始しないときは、免許を取り消さなければならない。

工 宅地建物取引業者D(丁県知事免許)は、法第72条第1項の規定に基づき、丁県知事から業務について必要な報告を求められたが、これを怠った。この場合、Dは50万円以下の罰金に処せられることがある。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【正解】3

ア 正しくない
都道府県知事は、国土交通大臣又は他の都道府県知事の免許を受けた宅建業者で当該都道府県の区域内において業務を行いますが、当該都道府県の区域内における業務に関して、宅建業第37条に規定する書面を交付しなかったことなど一定の事由に該当する場合には、当該宅建業者に対し、1年以内の期間を定めて業務停止処分をすることができます。
また、国土交通大臣が宅建業者に対して業務停止処分をしようとするときは、あらかじめ内閣総理大臣に協議しなければなりませんが、都道府県知事による業務停止処分の場合には、この協議をする必要はありません。

イ 正しい
免許権者が宅建業者に対して指示処分をしようとするときは、聴間を行わなければなりません。かつ、この聴聞の期日における審理は、公開により行わなければなりません。

ウ 正しい
免許権者は、その免許を受けた宅建業者が免許を受けてから1年以内に事業を開始せず、又は引き続いて1年以上事業を休止した場合は、免許を取り消さなければなりません。

工 正しい
都道府県知事は、当該都道府県の区域内における宅建業者に対して、宅建業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その業務について必要な報告を求めることができます。
この報告を求められたにもかかわらず報告を怠った宅建業者には、50万円以下罰金に処させられることがあります。

問30

宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。

ア 建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前において、建築工事着手前の賃貸住宅の貸主から当該住宅の貸借の媒介を依頼され、取引態様を媒介と明示して募集広告を行った。

イ ー団の宅地の売買について、数回に分けて広告する際に、最初に行った広告以外には取引態様の別を明示しなかった。

ウ 建物の貸借の媒介において、依頼者の依頼によらない通常の広告を行い、国土交通大臣の定める報酬限度額の媒介報酬のほか、当該広告の料金に相当する額を受領した。

工 建築工事着手前の分譲住宅の販売において、建築基準法第6条第1項に基づき必要とされる確認を受ける前に、取引態様を売主と明示して当該住宅の広告を行った。


1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【正解】4

ア 違反する
宅建業者は建築確認を受ける前の建物については、当該建物の売買その他の業務に関する広告をすることができない。

イ 違反する
宅建業者は、宅地・建物の売買、交換、貸借に関する広告をするときは、取引
態様の別を明示しなければなりません。
また、広告を数回に分けて行う場合には、最初に行った広告だけでなくすべての広告について取引態様の別を明示しなければなりません。

ウ 違反する
宅建業者は、依頼者の依頼によらない広告の料金については、報酬とは別に受領することはできません。

工 違反する
宅建業者は、建築基準法6条1項の建築確認を受ける前の建物については、当該建物の売買その他の業務に関する広告をすることができません。

問31

宅地建物取引業者Aが、BからB所有の既存のマンションの売却に係る媒介を依頼され、Bと専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した。この場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア Aは、専任媒介契約の締結の日から7日以内に所定の事項を指定流通機構に登録しなければならないが、その期間の計算については、休業日数を算入しなければならない。

イ AがBとの間で有効期間を6月とする専任媒介契約を締結した場合、その媒介契約は無効となる。

ウ Bが宅地建物取引業者である場合、Aは、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況の報告をする必要はない。

エ AがBに対して建物状況調査を実施する者のあっせんを行う場合、建物状況調査を実施する者は建築士法第2条第1項に規定する建築士であって国土交通大臣が定める講習を修了した者でなければならない。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ

【正解】1

ア 正しくない
専任媒介契約においては契約日から7日以内、専属専任媒介契約においては契約日から5日以内に所定の事項を指定流通機構に登録しなければなりません。この日数からは休業日を除きます。

イ 正しくない
専任媒介契約の期間は最長で3ヶ月で、3ヶ月以上を定めたときは期間3ヶ月となります。
媒介契約自体が無効となるわけではありません。

ウ 正しくない
媒介契約の相手方が宅地建物取引業者であっても、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況を2週間に1回以上報告するが必要があります。

エ 正しい
媒介を行う建物が既存の建物である場合、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を媒介契約書に記載しなければなりません。建物状況調査を実施する者は、建
築士法2条1項に規定する建築士であって国土交通大臣が定める講習を修了した者でなければなりません。

問32

宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)が受け取ることのできる報酬額に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤つているものはどれか。なお、この間において報酬額に含まれる消費税等相当額は税率10%で計算するものとする。

1 宅地(代金200万円。消費税等相当額を含まない。)の売買の代理について、通常の売買の代理と比較して現地調査等の費用が8万円(消費税等相当額を含まない。)多く要した場合、売主Bと合意していた場合には、AはBから308,000円を上限として報酬を受領することができる。

2 事務所(1か月の借賃110万円。消費税等相当額を含む。)の貸借の媒介について、Aは依頼者の双方から合計で110万円を上限として報酬を受領することができる。

3 既存住宅の売買の媒介について、Aが売主Cに対して建物状況調査を実施する者をあっせんした場合、AはCから報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。

4 宅地(代金200万円。消費税等相当額を含まない。)の売買の媒介について、通常の売買の媒介と比較して現地調査等の費用を多く要しない場合でも、売主Dと合意していた場合には、AはDから198,000円を報酬として受領することができる。

【正解】4

1 正しい
売買の代理の場合の報酬の額の上限は、媒介の場合の報酬の額の上限の2倍であり、物件価格が200万円以下の場合における消費税課税事業者の報酬の上限は、
 物件価格×5.5%×2(消費税込み)
となります。
また、400万円以下の宅地・建物の売買の代理であつて、通常の売買の代理と比較して現地調査等の費用を要するものについては、報酬の上限に上乗せすることができます。本肢の宅地は代金200万円で、Aは、現地調査等の費用で通常の売買の代理と比較して多く要した8万円を報酬の上限に上乗せすることができます。
そうすると、
 200万円×5.5%×2 + 8×1.1 =30.8万円
を上限として報酬を受領することができます。

2 正しい
居住用建物以外の建物の賃貸借の媒介の場合、宅建業者が双方の依頼者から受けることのできる報酬の額の合計額は、1ヶ月分の借賃(消費税含まず)の1.1倍に相当する金額以内です。
本肢は「事務所」であり、居住用建物以外の建物の貸借の媒介であるから、Aは依頼者の双方から合計で、1ヶ月分の借賃から消費税等相当額を除いた100万円の1.1倍である110万円を上限として報酬を受領することができます。

3 正しい
報酬とは別に宅建業者が受領することができるのは、依頼者の依頼によって行う広告費や依頼者の特別の依頼により支出を要する特別の費用に限られます。
よって、Aは売主Cから報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできません。

4 正しくない
売買の媒介において、物件価格が200万円以下の場合における消費税課税事業者が受領することのできる報酬の上限は、
 物件価格× 5.5%
です(消費税込み)。
また、400万円以下の宅地・建物の売買の代理であって、通常の売買の媒介と比較して現地調査等の費用を要するものについては、報酬の上限に上乗せすることができます。
通常の売買の媒介と比較して現地調査等の費用を多く要しない場合には、売主と合意していたとしても、当該費用を報酬の上限に上乗せすることはできません。
よって、
 200万円× 5.5%=11万円
を上限として報酬を受領することができます。

問33

宅地建物取引業保証協会(以下この間において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者で保証協会に加入した者は、その加入の日から2週間以内に、弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければならない。

2 保証協会の社員となった宅地建物取引業者が、保証協会に加入する前に供託していた営業保証金を取り戻すときは、還付請求権者に対する公告をしなければならない。

3 保証協会の社員は、新たに事務所を設置したにもかかわらずその日から2週間以内に弁済業務保証金分担金を納付しなかったときは、保証協会の社員の地位を失う。

4 還付充当金の未納により保証協会の社員の地位を失った宅地建物取引業者は、その地位を失った日から2週間以内に弁済業務保証金を供託すれば、その地位を回復する。

【正解】3

1 正しくない
宅建業者で保証協会に加入しようとする者は、「加入しようとする日」までに弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければなりません。

2 正しくない
保証協会の社員となった宅建業者は、保証協会に加入する前に供託していた営業保証金を供託することを要しなくなったときは、供託した営業保証金を取り戻すことができますが、この場合に還付請求権者に対する公告をする必要はありません。

3 正しい
保証協会の社員は、弁済業務保証金分担金を納付した後に新たに事務所を設置したときは、その日から2週間以内に弁済業務保証金分担金を当該保証協会に納付しなければならず、納付しなかつたときは保証協会の社員の地位を失います。

4 正しくない
還付充当金の未納によって保証協会の地位を失った宅建業者は、その地位を失った日から「1週間以内」に営業保証金を供託しなければなりません。ただ、保証協会の地位を回復するものではありません。

問34

宅地建物取引業法(以下この間において『法」という。)第37条の規定により交付すべき書面(以下この間において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者が自ら売主として建物の売買を行う場合、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額として売買代金の額の10分の2を超えない額を予定するときは、37条書面にその内容を記載しなくてよい。

2 宅地建物取引業者が既存住宅の売買の媒介を行う場合、37条書面に当該建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を記載しなければならない。

3 宅地建物取引業者は、その媒介により売買契約を成立させた場合、当該宅地又は建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めについて、37条書面にその内容を記載する必要はない。

4 宅地建物取引業者は、その媒介により契約を成立させ、37条書面を作成したときは、法第35条に規定する書面に記名押印した宅地建物取引士をして、37条書面に記名押印させなければならない。

【正解】2

1 正しくない
宅建業者が宅地。建物の売買を行う場合、損害賠償額の予定、違約金に関する定めがあるときは、その内容を37条書面に記載しなければなりません。

2 正しい
宅建業者が宅地。建物の売買の媒介を行う場合、当該建物が既存の建物であるときは、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者双方が確認した事項を37条書面に記載しなければなりません。

3 正しくない
宅建業者宅地・建物の売買の媒介を行う場合、当該宅地又は建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容を37条書面に記載しなければなりません。

4 正しくない
宅建業者は、宅建士に37条書面へ記名押印させなければなりませんが、37条書面に記
名押印する宅建士と、35条書面に記名押印した宅建士が同じである必要はありません。

問35

宅地建物取引業者Aが行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。

1 Aは、宅地建物取引業者ではないBが所有する宅地について、Bとの間で確定測量図の交付を停止条件とする売買契約を締結した。その後、停止条件が成就する前に、Aは自ら売主として、宅地建物取引業者ではないCとの間で当該宅地の売買契約を締結した。

2 Aは、その主たる事務所に従事する唯一の専任の宅地建物取引士Dが令和元年5月15日に退職したため、同年6月10日に新たな専任の宅地建物取引士Eを置いた。

3 Aは、宅地建物取引業者Fから宅地の売買に関する注文を受けた際、Fに対して取引態様の別を明示しなかった。

4 Aは、宅地の貸借の媒介に際し、当該宅地が都市計画法第29条の許可の申請中であることを知りつつ、賃貸借契約を成立させた。

【正解】4

1 違反する
宅建業者は、一定の場合を除き、自己の所有に属しない宅地・建物について自ら売主となる売買契約を締結してはなりません。ただし、宅建業者が当該宅地・建物を取得する契約を締結しているときは、例外的に自ら売主となる売買契約を締結することが認められています。
本肢の宅地の売買契約には停止条件が付されていますので、Aは、当該宅地について自ら売主となる売買契約を締結することはできず、Cとの間で当該宅地の売買契約を締結したことは宅建業法の規定に違反することとなります。

2 違反する
宅建業者は、主たる事務所に従事する唯一の選任の宅建士が退職した場合には、2週間以内に必要な措置を執らなければなりません。

3 違反する
宅建業者は、宅地・建物の売買、交換、貸借に関する注文を受けたときは、遅滞なく、その注文をした者に対し、取引態様の別を明らかにしなければなりません。この規定は、取引の相手方が宅建業者の場合であっても適用されます。

4 違反しない
宅建業者は、宅地の造成・建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる都市計画法29条の許可があつた後でなければ、当該工事に係る宅地・建物につき、自ら当事者として若しくは当事者を代理して、その売買・交換契約を締結し、又は売買・交換の媒介をしてはなりません。
しかし、宅建業者による貸借の代理・媒介については、このような制限はありませんので、Aによる宅地の貸借の媒介は、宅建業法の規定に違反しません。

問36

宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法(以下この間において「法」という。)第37条の規定により交付すべき書面(以下この間において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。

ア Aは、その媒介により建築工事完了前の建物の売買契約を成立させ、当該建物を特定するために必要な表示について37条書面で交付する際、法第35条の規定に基づく重要事項の説明において使用した図書の交付により行った。

イ Aが自ら貸主として宅地の定期賃貸借契約を締結した場合において、借賃の支払方法についての定めがあるときは、Aは、その内容を37条書面に記載しなければならず、借主が宅地建物取引業者であっても、当該書面を交付しなければならない。

ウ 土地付建物の売主Aは、買主が金融機関から住宅ローンの承認を得られなかったときは契約を無条件で解除できるという取決めをしたが、自ら住宅ローンのあっせんをする予定がなかったので、37条書面にその取決めの内容を記載しなかった。

工 Aがその媒介により契約を成立させた場合において、契約の解除に関する定めがあるときは、当該契約が売買、貸借のいずれに係るものであるかを問わず、37条書面にその内容を記載しなければならない。

1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ


【正解】2

ア 正しい
宅建業者が宅地・建物の売買の媒介を行う場合、当該宅地・建物を特定するために必要な表示を37条書面に記載しなければなりません。
この表示を37条書面で交付する際、工事完了前の建物については、重要事項の説明の時に使用した図書を交付することにより行うものとされています。

イ 正しくない
そもそも、宅建業者が自ら貸主となる場合は、宅建業法上の「宅地建物取引業」には該当しないので、37条書面の規制を受けません。

ウ 正しくない
契約の解除に関する定めがあるときは、その内容を37条書面に記載しなければなりません。よって、「買主が金融機関から住宅ローンの承認を得られなかったときは契約を無条件で解除できる」旨を37条書面に記載しなければならないわけです。

工 正しい
宅建業者が宅地・建物の売買、貸借のいずれの契約の媒介を行う場合でも、契約の解除に関する定めがあるときは、その内容を37条書面に記載しなければなりません。